就活シネマ【映画と仕事】 職業やビジネス視点でつづる映画・DVDレビューと、国内外の映画ネタを更新中!

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2009.07.13 Monday  【就活シネマvol.08:摩天楼を夢みて】不動産営業マンの策謀術

前回の紹介した名作コメディと同じく『摩天楼』を邦題タイトルに冠しながら、一転して骨太で男くさい名作『摩天楼はバラ色に』を今回の“就活シネマ”として取り上げたい。

摩天楼を夢みて
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★不動産営業マンの策謀術

主な登場人物はわずかに7人。
ニューヨークの小さな不動産投資子会社を舞台に、悲哀あふれる雇われ営業マンの激動の一日(夜半過ぎ〜明昼過ぎ)を描いたビターテイストの秀作映画。
ピューリッツァ賞受賞の舞台戯曲を作者自身が映画脚本化したという本作は、なんといっても役者陣が豪華だ。
 
かつてのトップ営業マン:レビーンを演じた名優ジャック・レモンが、本作でヴェネチア国際映画祭の金獅子賞(男優賞)を受賞。
気性は荒いが人間味あふれるTOPセールスマン:ローマを演じたアル・パチーノも、本作で1992年のゴールデン・グローブ助演男優賞受賞およびアカデミー賞助演男優賞ノミネートを果たした。
その他、会社に対する不満から策謀をめぐらす営業マンをエド・ハリスが演じ、その誘惑に翻弄される新人営業マン(?)にアラン・アーキン、本社のエリート営業マンにアレック・ボールドウィン、当時は無名だったケヴィン・スペイシーが雇われ支社長として好演を見せている。
 
練りこまれた脚本と、実力派俳優たちのアンサンブルが光る“逸品”だが、“就活シネマ”としては些かお行儀がよろしくない。


★不動産会社VS営業マン、営業マンVS営業マンの策謀合戦

不動産業界を舞台に、営業マンたちの人間ドラマを描いた恰好のビジネスモノだが、とにかく鑑賞後の後味が極めて渋く、本編中には営業マンの参考作品としては決してプラスにばかり作用しない「妬み・嫉み・企み」に溢れている。

不況下にあった当時アメリカの時代背景やお国柄もあるのかも知れないが、契約のキャンセルを乞いに来社した客への詐欺まがいの対応などセールス手法には疑問が多く(ある意味時代を感じさせる)、会社から提供されるネタ(顧客情報)が悪いから成果が上がらないと愚痴もひどい。

ただ、本作でアル・パチーノやジャック・レモンが披露するセールストークが、アメリカの一部証券マンたちの間で参考にされているとか。
話に興味を惹かせるための詐術すれすれの話術や、危機回避のためにプライベートな話題に焦点をずらすなど、用法さえ誤らなければ確かな結果につながりそうなトークに溢れているのは事実。

営業職の「華やかさ」ばかりではなく、「つらさ」を垣間見るのも時には必要だろう。
そして彼らの“暗黒面”に満ちた中にもキラリと光る“良いところ”を拾い上げて欲しい。

そもそもデヴィッド・マメットが舞台用に書き下ろし、演劇作品としてピューリッツァー賞を受賞していた本作。
好みの分かれる向きもあるが、映画としては名実ともに名作であることは間違いない。


※本エントリーは、某人材紹介サイトで2007年に連載していた映画コラムを一部改変したものです。






【関連リンク】
あと967日目は「摩天楼を夢みて」で就活コラム
あと981日目は「摩天楼はバラ色に」で就活コラム
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あと1004日目は「幸せのちから」で就活コラム
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あと1006日目は「007 カジノ・ロワイヤル」で就活コラム


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2009.07.03 Friday  1989年アカデミー賞受賞の短編アニメ「Balance」

昨日お伝えしたティム・バートンプロデュースのCGアニメ映画『9』。

監督のショーン・アッカーが、メディアインタビューなど『9』製作にあたって影響を受けたアーティスト・作品として、日本でもカルト人気の高いパペット・アニメ(ストップモーション・アニメ)作家、ブラザーズ・クエイやヤン・シュヴァンクマイエルの名前を挙げていました。

更に『9』製作にもっともイマジネーションを与えた作品として、1989年アカデミー賞で短編アニメーション賞を受賞したクリストフ&ウォルフガング・ラウエンシュタインの『Balance』を挙げていました。

▼Balance(1989)


シュールかつ陰惨なトーンでいて、どこか味わい深い不思議な小品ですね。
一切セリフがないけれど説明は不要、登場人物の背中にナンバーが書かれているなど、確かに『9』への影響が感じられます。


★ラウエンシュタイン兄弟について

ドイツ出身の「一卵性双生児のパペット・アニメ作家」として著名な存在のようですが、日本のサイトでは“アカデミー賞で短編アニメーション賞を受賞した”という記述以外にあまり有益な情報が見つかりませんでした。

公式サイトのプロフィールによれば、

ラウエンシュタイン兄弟とラウエンシュタイン・フィルム・プロダクションは3Dアニメーションを専門とし、ドイツ人の双子・クリストフとウォルフガング兄弟はクレイアニメ(粘土アニメ)や古き良き人形アニメーション、CGアニメーションでその個性を発揮しています。
彼らの『Balance』は、アカデミー賞で最優秀短編アニメーションを受賞しました。
ラウエンシュタイン兄弟は、コカコーラやナイキ、Smarties、MTVを含む国際的なクライアントに、画期的なコマーシャル作品を提供してきました。

……とのこと。

ラウエンシュタイン兄弟

公式サイトでナイキやMTVへの提供作品や、動物をモチーフにした様々な短編作品を観ることができます。

ラウエンシュタイン兄弟公式サイト


最近では、『ザ・セル』のターセム監督の2006年製作映画『落下の王国(原題:The Fall)』で、特殊効果として兄弟の名前がスタッフクレジットされていますね。

この『落下の王国』は今年になってDVDレンタルにも並ぶようになり、借り手はいないもののボクも手にとっていた作品でした。
デビッド・フィンチャーとスパイク・ジョーンズがプロデュースに名をつらね、日本でも2008年9月に公開されていました。

公式サイトで予告編をチェックして欲しいのですが、とにかく綺麗な映像に圧倒されます。
“CGを一切使わずに、美しい映像で魅せる”といった内容が、確かDVDパッケージに記載されていたように記憶しています。

『落下の王国』公式サイト

ラウエンシュタイン兄弟の手によるパペットアニメーションが作中に登場するのでしょうか?
気になります(今度借りて観よう……)。



【関連リンク】
〔TextとStoryに埋もれて〕あと976日目はティム・バートンがプロデュースしたCGアニメ『9』が観たい!

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2009.06.28 Sunday  【就活シネマvol.07:摩天楼はバラ色に】新卒社員のサクセスストーリー

摩天楼はバラ色に
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100年に1度と言われる経済不況のあおりを受けて、2010の就職戦線は厳しい向きもありつつ、徐々に採用に関しては復調の兆しも見せ始めている、とも言われている模様。
そろそろ内定が出始めている方々もいるのではないだろうか?

さて、今回はそんな新卒生にこそみて欲しい映画を紹介する。

公開は1986年と懐かしい、『摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に』(原題:THE SECRET OF MY SUCCESS)。
本作は、新卒ビジネスマンの主人公が“バラ色”のアメリカンドリームを実現するサクセスストーリーである。


★新卒入社初日にまさかの失職!あなたならどうする?

大学卒業後、就職を機に単身ニューヨークに乗り込んだブラントリー(マイケル・J・フォックス)だったが、出社初日に会社乗っ取りに見舞われ、いきなり職を失ってしまう。
片田舎から憧れのニューヨークに上京したばかり、親にも心配をかけたくないと、さっそく就職活動を開始する。
面接を方々回り、ゼミで学んできたことや華々しい学業の成果で売り込みをかけるも「経験がない」と一蹴されるばかり。すがる思いで母親から預かっていたメモを頼りに、遠戚の叔父が取締役社長を務める企業へ足を運び、「経験は何もないが、意気込みと将来性を買って欲しい」と直接面談でアピールし、どうにか入社を認められる…

まさしく「就活シネマ」に相応しい序盤。

ブランドリーが採用されたい一心で必死に訴えるセリフは、キャリアの浅い新卒者だけでなく、第二新卒(就職浪人生、既卒20代)の皆さんにも是非参考としていただきたい。

そして、「就活シネマ」として注目して欲しいポイントが、巨大コングロマリット企業でメールボーイとして社会人スタートを果たしたブランドリーが、バラ色の成功を掴むまでに築き上げてきた“陰ながらの努力”にある。


★仕事は与えられるのを待つだけでなく、自ら手に入れるものである

架空の若手役員になりすますという2重生活のドタバタに笑いを誘われて見失いがちだが、社内資料や役員の企画書といった社外秘データを盗み見たり(犯罪です)、コスト削減の打開案を独自に調べて打ち出してみたり、パーティに参加した大物実業家たちと積極的に交流したりと、ブランドリーがただのお調子者ではないことは明らか。

コメディならではお約束満載、ご都合主義のストーリー展開はさておき、出世において人脈形成と陰ながらの努力がモノをいう好例ではないだろうか。
細かな伏線を汲み上げた最終最後の大逆転劇に喝采。

本編中に度々流れる80年代ヒットチャートや陳腐なラブロマンスが時代を感じさせる(映画公開は1986年…20年前!)ものの、ライトなコメディ映画としての面白さは今なお色あせていない。

主演のマイケル・J・フォックスが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で一躍脚光を浴びた、当時の勢いを感じさせる傑作である。


※本エントリーは、某人材紹介サイトで2007年に連載していた映画コラムを一部改変したものです。





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コメント:架空の若手役員になりすますという2重生活のドタバタに笑いを誘われて見失いがちだが、マイケル・J・フォックス演じる新卒ビジネスマンの人脈形成術と陰ながらの努力に拍手。 ライトなコメディ映画としての面白さは今なお色あせていない。
Amazonおすすめ度:
楽しく観れるサクセスストーリー。
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2009.06.18 Thursday  【就活シネマvol.06:マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋】あなたの心の魔法が、あなた自身を色鮮やかにする

マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋
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おもちゃのカタログから商品が飛び出し、大小さまざまなスーパーボールが跳ねまわり、紙ヒコーキは永遠に店内を滑空しつづけ、フリスビーが大好きな恐竜や傍若無人なシマウマが同居するこのおもちゃ屋は、いつも大盛況。

この店のおもちゃは大人も子供も魅了する。

創業113年、243歳のマゴリアムおじさん(ダスティン・ホフマン)がオーナーを務める“不思議なおもちゃ屋”はワンダーランドだ。


■不思議なおもちゃ屋は、関わる人々すべてにドラマを与える

街のおもちゃ屋がすっかりとナリを潜め、TVゲームの2D・3D世界ばかりが見せかけのマジックで子供たちから活力を奪い続けている昨今、この作品は、就活や、仕事や、人生に活力を与える「魔法」に満ちている

本作は、マゴリアムおじさんという名の年老いた店主の引退と後継を描いた物語である。
子供たちに夢を与える魔法のおもちゃを発明し続けてきた彼は、天才肌の公私混同型クリエイタータイプ。請求書や書類の整理をほっぽらかして長年ろくに経営に取り組んでこなかったが、彼の“仕事”は子供たちに最高の夢を与えてきた。

本作は、モリー(ナタリー・ポートマン)という少女の挫折と再生を描いた成長物語である。
一流のピアニストになる自信を失くしたエリート落ちこぼれタイプの彼女は、おもちゃ屋での仕事を通じてマゴリアムおじさんの軌跡と奇跡に触れ、自分自身と夢を信じる心を取り戻したはずだ。

本作は、仕事一筋の経理士ヘンリー(ジェイソン・ベイトマン)と、友達のいないエリック(ザック・ミルズ)の物語でもある。
ヘンリーは、不思議なおもちゃ屋の財務整理と相続管理を担当する最中に、手堅い仕事だけでは得ることのできない、人との心の交流に目覚める。
エリック少年にとって不思議なおもちゃ屋は、彼の隠れた才能を開花させる大切な場所だ。

本作は、おもちゃ製造に勤しむ無骨な職人男が、人知れず何年にもわたって地下室で綴りつづけている物語そのものかも知れない。


■信じる心は何事においても魔法の力となる

そんな彼らのよりどころであるおもちゃ屋も、マゴリアムおじさんが店を後任に託すことを知って、魔法の効力を次第に失っていく。

終盤、生命の息吹を失ったおもちゃ屋がすっかり色褪せた瞬間、ポップでスタイリッシュな本作の映像美に初めて気付かされることだろう(冒頭からあまりにカラフルで、美術装置も凝っていたために目が眩んでいた)。
モリーの「信じる心」を魔法に、モノトーンのおもちゃ屋が文字どおり色鮮やかに蘇るさまは、ただただ「ステキ」のひとことに尽きる。

惜しむらくは、せっかくのキャラクター設定や成長の様が消化不良のままに幕を閉じてしまうこと。

モリーやエリック少年、ヘンリーの“今後の成長と仕事ぶり”に夢を託し、あなた自身の職場や人生にも「魔法の奇跡」があることを願うばかりである。

いずれの作品でもややも背伸びの感あるナタリー・ポートマンだが、この作品では早熟だった才女の葛藤を等身大で演じていて一見の価値あり。


※本エントリーは、某総合求人サイトで2008年に連載していた映画コラムを一部改変したものです。






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評価:
コメント:街のおもちゃ屋がすっかりとナリを潜め、TVゲームの2D・3D世界ばかりが見せかけのマジックで子供たちから活力を奪い続けている昨今、この作品は、就活や、仕事や、人生に活力を与える「魔法」に満ちている。
Amazonおすすめ度:

経理士ヘンリーと少年エリックが変わっていく様
この映画は…




2009.06.11 Thursday  【就活シネマvol.05:サンキュー・スモーキング】“情報操作”の煙たい話。

評価:
コメント:“情報操作”の煙たい話。 父子の交流を描いたヒューマンドラマとしても充分に楽しめる。政治的にもウィットに富んだ、まさしく煙たい傑作。 「自らの論説が正しいことよりも、テーマをすり替えてでも相手が間違っていることを証明することが重要」という論理展開が痛快だ&
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失言大臣はこれを見ろ
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人類の歴史において、銃やアルコールより、最も人を死に追いやったもの――それはタバコである。

映画の中でも、年間統計から導き出された1日あたりの死亡者数を比較して、銃で1日に30人、アルコールでは270人に対して、タバコは1200人(年間43万5000人)の命を奪うとしている。

日本でも近年、社会的な嫌煙活動が進展し、全面禁煙の飲食店が増加、「嫌煙」は良識者のマナーという認知が確立されたように感じる。
街中で歩きタバコをする人も少なくってきた――正しい言葉を使えば、街中で歩きタバコをする人に自然と軽蔑のまなざしが集まるようになった。

JT(日本たばこ産業)では、喫煙におけるマナーについて熱心な広告展開を繰り広げてきたが、パッケージでの注意勧告(この手法は海外が先行)など、ビジネスにおける“矛盾”と戦うその姿勢には敬意を表したい。
戦略として、愛煙家向けにパッケージやフレーバーに贅を尽くし商品個々のブランディングを強化したり(この映画でも「喫煙は個人の選択だ」という見解が語られている)、「こんなところにもJTが」というかつてのCMにもあるとおり、コーヒー飲料や食品、医薬品分野にも積極進出している。


■テーマはズバリ、情報操作。

前置きが長くなったが、本作『サンキュー・スモーキング』について。

主人公のニック・ネイラーは、タバコ研究アカデミーの主任スポークスマン。
タバコ産業のロビイストを務め、マスコミからは「情報操作の王」と揶揄されている。
「ロビイスト」という言葉に耳慣れない方へ説明を加えると、圧力団体や企業のエージェントとして、政治家や政治団体に対して根回しや広報工作を行う専門家を指す言葉である。

タバコ研究アカデミーが存在する大義名分は、喫煙が人体・環境系に及ぼす影響について研究することにあると錯覚しがちだが、タバコ産業から莫大な研究資金を得ている以上、タバコの害を立証することに決して熱心ではない。
中東問題への武力解決に熱心だったブッシュ前大統領が、石油ビジネスの出身者であり、彼が所属する共和党は全米ライフル協会から莫大な政治資金を得ているのは有名な話。
そこには同質の論拠が見え隠れしている。

公式サイトにも監督の言葉として記されているが、本作では喫煙シーンがひとつとして存在しない。
タバコを題材に、タバコ産業VS嫌煙運動家の物語を描いているにも関わらず、だ。
なかなか練りこまれた逸品だと感心しつつDVDの映像特典を見ると、何故か喫煙シーンが…
これは、ライトマン監督流の“情報操作”ジョークだろうか?


■営業マンと広報担当、そして父子家庭のお父さんにオススメの傑作

父の仕事を理解しようと努める息子に、ロビイストの仕事とディベートの極意を披露するニック。
仕事における適正については、「柔軟な道徳観念が不可欠」だと語る。

チョコアイスとバニラアイス、どちらかのアイスを弁護することを喩えに、「自らの論説が正しいことよりも、テーマをすり替えてでも相手が間違っていることを証明することが重要」という論理展開が痛快だ。

父子の交流を描いたヒューマンドラマとしても(本当のテーマはこれかもと思わせて、実はここにも情報操作のカラクリがあるようにいぶかしんでしまう)充分に楽しめる。
政治的にもウィットに富んだ、まさしく煙たい傑作。

「就活シネマ」としてのポイントは?と問われれば、「最終的に自分の仕事と才能を信じること、というニックの決意に倣おう」と説こう。

これはコラムとして成立させるための抗弁かも知れないが(情報操作?)。

営業トークにニックの論法を真似てみるのも一興だが、大切なクライアントに煙たがられぬよう注意が必要である。

なお、このコラムも偏った情報で構成されている点は否めない。
情報の取り扱いも、転職と同じく、慎重に。


※本エントリーは、某人材紹介サイトで2007年に連載していた映画コラムを一部改変したものです。






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2009.06.08 Monday  【就活シネマvol.04:陽はまた昇る】仕事の充実と成功は「信念」に宿る。

陽はまた昇る
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徐々に市場に浸透しつつある「ブルーレイ」だが、「HDD」のDVD規格戦争は記憶に新しいところ。
現在アラフォー世代以上の方々にとっては、同じような様相が繰り広げられた家庭用ビデオ規格、「ベータマックス」VS「VHS」戦争を懐かしんでいたのではないだろうか。

今やすっかりDVDが普及したが、「VHS」全盛の時代からまだ10年と経過していない。
『陽はまた昇る』は、この「VHS」誕生を支えた男たちの物語を描いている。


■「プロジェクトX」での反響から映画化された実話モノ

前回紹介した『幸せのちから』はドキュメンタリー番組での放送に端を発して映画化された作品だが、『陽はまた昇る』も同様、原作書籍を下敷きにした「プロジェクトX」での放映が反響を産んで映画化に至ったそうだ。

「VHSの父」と呼ばれた元日本ビクター社・副社長の睫酊値沙瓩VHS誕生にまつわる逸話をベースにした本作だが、主人公の名前は加賀谷静男と何故か仮名になっている。
(フィクションを織り交ぜている点は『幸せのちから』も同じなのに…何故だろう? 松下幸之助や、松下電気産業・ソニーといった社名はそのままなのに)。


■ドラマチックなVHS誕生物語

さて、本作の「就活コラム」としての見どころは、西田敏行演じる加賀谷営業部長の奮闘と、彼を信じてVHSの開発から販売に尽力した事業部社員一同の一致団結した姿にあるだろう。

定年退職間近になって左遷同然に斜陽部署に事業部長として配属された加賀谷が、本社幹部からの大量リストラの命に背いて、人員削減することなく技術者を営業にまわして少なからず利益を追求しながら、本社には極秘で開発プロジェクトを進める。
「VHS」の成功を知る身としては「なるほどこんな背景があったのか」と唸るも、本社への虚偽報告や極秘開発、官庁役人に対する振る舞いなど、随分と無茶をする人物だなとも思う。

周囲がそんな加賀谷を信頼して従ったのも、事業を成功させようという彼の「信念」と、その信念に基づく「行動」があったからに他ならない。こんな上司の下で働きたいと思う求職者の方々は多いのではないだろうか。

あくまで成功あってのことかも知れないが、DVD特典映像で元日本ビクター社員が「VHSがあったから充実したサラリーマン人生があった」と胸を張ってコメントする姿が印象的だった。

仕事の充実は、職場や環境に左右されることなく、携わっている人たちの「信念」に宿るのだということを痛感させられた。

このようにありたいものだと思う。


※本エントリーは、某人材紹介サイトで2007年に連載していた映画コラムを一部改変したものです。




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2009.06.04 Thursday  【就活シネマvol.03:幸せのちから】幸せを求めるココロの強さ。

幸せのちから
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原題の「The Pursuit of Happyness」は、物語中でも触れられるが、アメリカ独立宣言の前文で「生命」「自由」と並んで、平等に与えられた権利として謳われた「幸福の追求」――The Pursuit of Happinessに由来している。

「幸せになる」ことは平等に与えられていないが、「幸せを追い求める」権利はすべての人々に与えられている、という訳だ。


■自伝原作をもとにした良質のヒューマンドラマ


生活苦に喘ぎながら医療機器の訪問販売員として汗を流していた主人公が、妻に見限られ、幼いひとり息子とともにホームレス生活を経験しながら、一流証券会社の無給研修生として研修合格を目指す。
本作は、苦しい生活に疲れた妻とぶつかり合い、幼い息子と手を取り合いながら、証券会社で明日を信じて営業に取り組むひとりの男の姿を描いた、良質のヒューマンドラマとなっている。

「幸せのちから」はいわゆる実話モノで、“ホームレス生活から億万長者への立身出世”を果たした実在の証券マン、クリス・ガードナーの逸話を下敷きにしている。
後に彼は自らの会社を立ち上げ、慈善活動にも力を入れながら億万長者の仲間入りを果たすのだが、映画ではこの成功者としての「幸せ」を勝ち得る以前、人生のどん底から「幸せを求めてあがいていた」時代を描くにとどめている。


■“幸せ”は与えられるものではなく、自らの手で掴み取るもの


先に「幸福の追求」というキーワードに触れたが、この作品は、主人公の「幸福」ではなく「幸福を追求する姿」に焦点を絞っている点に評価が高い。
サクセスストーリーは物語のいち側面であり、根底にあるのはひとり息子への父性愛と、それに支えられた「明日への信念」の物語なのだ。

この「幸福の追求」になぞらえた男の半生と共に、投資コンサルの研修生として電話営業を行っているシーンも、「就活シネマ」のポイントとして外せない。
会社から与えられた顧客見込みリストを眺め、受話器を置くことなく矢継ぎばやにコールを掛け、トイレへ行く時間も惜しんで水分補給も控えめに…

電話によるアポイントメント経験のある求職者の方々には、彼の努力と工夫に、うなずく面も多いのではないだろうか。

クリス・ガードナーを演じたウィル・スミスの、心の奥からにじませる、控えめながら深い感情表現も素晴らしい(本作でアカデミー賞主演男優賞ノミネート)。


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2009.06.03 Wednesday  【就活シネマvol.02:プラダを着た悪魔】働く上での“大切な何か”

プラダを着た悪魔

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アン・ハサウェイ演じる主人公アンディは、ジャーナリストになることを夢見る、どこか垢抜けない高学歴の文系女子。それが、「まずは生活を成り立たせなきゃ」と、よりによって一流ファッション誌の編集長アシスタント職の面接を受けるところから物語は始まる。

業界のカリスマ編集長の下で働くという、オシャレに目がない女性なら誰もが羨む“憧れの職場”も、ファッション音痴の彼女には雑誌編集を学ぶためのステップアップの場としか映っていない。
彼女のファッションに対する無頓着ぶりに、周囲のスタッフたちは眉をひそめるばかり。
 

■彼女は何故、“未経験入社”できたのか。
 
ただでさえ“即戦力スキル”が求められる過酷な仕事と、「悪魔」と揶揄される鬼編集長からの無茶な要求に振り回され、連日のように愚痴をこぼすアンディ。
物語の中盤で編集長がこぼすアンディ採用の理由は、皮肉まじりのためかそれほど響いて聞こえないものの、憧れと上辺だけの薄っぺらな気持ちでは大きな仕事を続けることができない現実を示唆している。
 
気持ちが折れて「私は頑張っているのに」と泣きついてきた彼女に対して、ファッションディレクターを任されている別部署の上司が言い聞かせた言葉に、是非とも耳を傾けて欲しい。
 
「どこで働くか、ではなく、誰と働くか」とは、求人広告でしばしば語られるコピーであるが、更には、「どのようにして働くか」――。
 
ご都合主義のややありがちなサクセスストーリーながら、単なるガーリッシュなファッション映画や恋物語だけで終わらない、「就活シネマ」としての本作の見どころがここにある。
 

■“プロフェッショナル”とは何か。

名優メリル・ストリープ演じる編集長ミランダの、傍若無人な振る舞いに隠された、仕事と職場のポジションに対する真摯な姿勢。
前述のファッションディレクター ナイジェルの、気取らないたたずまいと、編集長の右腕として活躍する仕事ぶりとスピリット。
編集長の第1秘書を務めるエミリーもまた、憧れの仕事で奮闘する姿をさらけ出している。
主人公アンディは、彼女ら彼らの“プロの仕事”に揉まれ、時折垣間見せる人間性に触れながら、キャリアアップの道へと歩みを進めていく。
 
「恋(プライベート)か仕事か」「自分はどうありたいのか」
と葛藤するアンディに、就活や入社1年目で戸惑い想い悩む自分の姿を重ねる方も多いのではないだろうか。
 
最終的にアンディが選択する道はともあれ(その決断を下した直後の行動はいただけないが)、ファッションに興味のない方にも観ていただきたい、就活者必見のムービーであることは間違いない。


※本エントリーは、某人材紹介サイトで2007年に連載していた映画コラムを一部改変したものです。







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2009.06.01 Monday  【就活シネマvol.01:007 カジノ・ロワイヤル】007になるための求人広告

007 カジノ・ロワイヤル

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ジェームズ・ボンドに憧れるアナタへ、耳寄りな求人情報をお届けしたい。

ジェームズ・ボンドって誰?という方がいるかも知れない。
「007」だと説明して初めて「ああ、あのスパイ映画でしょ」という10代20代前半の若者に、ジェネレーションギャップを感じる。
「ああ、サイボーグ戦士のあれね」とおどけてみせる方は、若者を語るには既に苦しいはずだ。

今回の話は、スパイ映画の金字塔「007(ダブルオーセブン)」にまつわる話。
そしてジェームズ・ボンドとは、そのスパイアクションシリーズの主人公の名前である。


■イギリス諜報部の求人広告とは?

6代目ジェームズ・ボンド、ダニエル・クレイグのお披露目作となった『カジノ・ロワイヤル』製作中にニュースサイトでも話題になったネタなので耳にされた方もいるかもしれないが、その存在自体が秘密とされてきたイギリス諜報機関(SIS―情報局秘密情報部。旧称MI6)が、創設から97年にして初めて、SISのWebサイトと新聞広告で「スパイ募集」の求人広告を出したという。

組織概要と募集要項は以下の通り。

【従業員数】
 ・・・約2000人
【募集の背景】
 ・・・国際テロ活動の活発化に伴い、事業規模および構成員の拡大を要するため
【仕事内容】
 ・・・海外における英国の安全と繁栄のために、情報収集活動を計画・実行すること
【応募資格】
 ・・・イギリス国籍を持ち、一方の親も英国人であること
 ・・・過去10年間のうち5年をイギリス国内で生活していること
 ・・・厳格な秘匿義務を遵守し、英国民に頼りとされる資質があること etc

更には、業務の性格上、3ヶ月から約半年程度の身辺調査期間が設けられ(選考はスピーディに行います、とはさすがにいかない)、配偶者や恋人以外にSISへの応募について口外してはいけないといった注釈も。

「007」デビューへの道は遠く険しく、そもそもイギリス人でなければならない、という条件からして、このコラムを読んでいる方で条件を満たす者はいないはずだ。


■ダニエル・クレイグの出世作!

さて本作『カジノ・ロワイヤル』だが、ジェームズ・ボンドが00(ダブルオー)エージェントに昇格した最初の任務を描いている。

キャスティング発表当初は「金髪のボンドなんてあり得ない」「二枚目じゃない」と酷評されたが、『カジノ・ロワイヤル』が公開されるやいなや、本国イギリスをはじめ007ファンやアクション映画ファンを唸らせて喝采されたダニエル・クレイグの新ジェームズ・ボンド。

本作と、続く『慰めの報酬』ともに既にDVD化されているので未見の方はチェックしてみてはどうだろう。

両作ともに、若きエージェントが諜報部員という仕事で葛藤するさまが描かれている。


※本エントリーは、某人材紹介サイトで2007年に連載していた映画コラムを一部改変したものです。






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